年末年始の旅行動向:回復基調を維持しつつも伸びは鈍化

2025年の年末年始における「旅行」予定の登録数は、コロナ禍前(2019年)と比較して83%の水準を維持しており、回復基調が続いていることが示されました。しかし、前年からは5ポイント減少しており、物価高や宿泊費の高騰が旅行需要の伸びを鈍化させている可能性があります。
国内旅行トレンド:沖縄が3年ぶりに首位、万博閉幕後の大阪は2位に

国内旅行の行き先では、沖縄が3年ぶりに首位に浮上しました。冬でも温暖な気候を求める年末年始の需要に加え、2025年7月に開業した新しいテーマパークへの注目も、沖縄人気を後押ししたと考えられます。一方、前年1位だった大阪は2位に後退しました。10月13日に閉幕した大阪・関西万博の開催期間中に多くの人が訪れたことで、年末年始の旅行先としては前年よりも選ばれにくくなった可能性があります。東京は3位、京都は4位と、都市部への旅行は安定した人気を見せました。また、北海道が前年7位から5位に上昇したほか、箱根、熱海、伊豆といった温泉地も上位にランクインし、年末年始をゆっくり過ごす旅行スタイルが引き続き人気を集めています。
海外旅行トレンド:近距離アジアへの「弾丸旅行」が主流

海外旅行では、12月26日出発がピークで、帰国は1月2日または1月6日に集中する傾向が見られました。旅行日数は2泊3日〜3泊4日が全体の約80%を占め、短期で効率よく楽しめる「弾丸海外旅行」が主流となっています。行き先は、韓国、台湾、香港、ベトナムなど、近距離のアジア諸国が上位を独占しました。旅行代金はグループ合計で9万〜17万円台がボリュームゾーンとなり、費用と距離のバランスを重視する傾向がうかがえます。
予約者層を見ると、20代と50代が中心でした。子育て世代が国内でゆっくり過ごす傾向がある一方で、比較的時間の制約が少ない若年層とミドル層が積極的に海外旅行に出かけている様子がうかがえます。
為替と物価で見るコスパの良い海外旅行先:韓国とベトナムが際立つ

直近1年間の為替変動と物価上昇率を総合的に分析した結果、最もコストパフォーマンスに優れる海外旅行先は韓国であることが判明しました。ウォンに対する円の相対的な安定と現地物価の伸びが穏やかであるため、費用対効果の高さが際立っています。ベトナムも物価の大幅な上昇が見られず、依然として「コスパの良い海外旅行先」としての魅力が続いています。
一方、人気2位の香港や、欧州で唯一ランクインしたイタリアは、為替と物価の上昇によりやや割高な傾向が見られます。しかし、ツアー内容やホテルのグレードを工夫することで、費用を抑えて旅行することも可能です。
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物価データ出典:みずほ銀行 ヒストリカルデータ「公示データ(2002年〜)」
https://www.mizuhobank.co.jp/market/historical/index.html -
物価データ(ハワイ)出典:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS「Databases, Tables & Calculators by Subject」
https://data.bls.gov/timeseries/CUURS49FSA0?amp%253bdata_tool=XGtable&output_view=data&include_graphs=true -
為替データ出典:TRADING ECONOMICS
https://tradingeconomics.com/indicators
「銀行休業日」を予定に入れるのは日本だけ?世界6カ国の年末年始を比較

TimeTreeに登録された世界6カ国(日本、アメリカ、台湾、韓国、ドイツ、イギリス)の年末年始期間(12月25日〜1月4日)の予定ワードを分析すると、各国特有の文化が浮き彫りになりました。特に興味深いのは、日本で上位3位に「銀行休業日」がランクインしていることです。これは分析した6カ国中、日本にのみ見られる独特な予定であり、年末年始の銀行業務が全国一律で停止するため、事前の資金準備を意識して計画を立てる日本の現金文化と一斉休業システムが生み出した現象と考えられます。
一方、アメリカとイギリスでは「Work(仕事)」が1位となり、年末年始も通常営業を継続する社会が反映されています。アジア圏では、台湾の「期末考(期末試験)」や韓国の「방학식(終業式)」など、各国の学校制度の違いが予定に現れていました。
調査を終えて
TimeTree未来総研所長 深川 泰斗氏コメント

今回の共同調査では、TimeTreeならではの世界6カ国比較と2019年からの長期推移データに、NEWTの詳細な予約データと為替×物価分析を組み合わせることで、年末年始旅行の”今”を立体的に捉えることができました。特に興味深いのは、『銀行休業日』を予定登録する日本独特の行動です。欧米では年末年始も『Work』が上位に来る中、日本人は銀行の営業日を意識して計画を立てる。これは単なる文化の違いではなく、いまも現金決済が根強い日本の特性が、人々の行動計画に深く刻まれている証拠です。旅行動向を見ると、物価高の中でも人々は『賢く旅する』術を身につけ始めています。国内では新テーマパーク効果もあってか沖縄が復活し、海外では韓国・ベトナムといったコスパの良い渡航先を2〜3泊で効率的に楽しむ。20代と50代が海外旅行を牽引し、子育て世代は国内でゆったり過ごすという、ライフステージに応じた旅の選択も浮かび上がってきました。旅行回復が83%で踊り場を迎えた今、量から質への転換期だと考えています。TimeTree未来総研は、こうした予定データや予約データから見える変化の兆しを丁寧に分析し、みなさまが年末年始や大型連休をどう過ごすか考える際のヒントとなる情報を発信し続けていきたいと思います。
株式会社令和トラベル 執行役員兼リサーチ統括 大木優紀氏コメント

今回の共同調査では、TimeTreeさんの予定データとNEWTの予約データを組み合わせることで、年末年始の旅行行動の変化をより明確に捉えることができました。特に印象的だったのは、「旅行需要は回復しつつも、旅の選び方がこれまで以上に“慎重かつ合理的”になっている」という点です。
物価高や円安といった環境の変化を受けつつも、人々は短期間でも海外を楽しむ若年層・ミドル層、国内でゆっくり過ごす子育て世代など、自身のライフステージに合わせて、無理なく楽しめる旅を選んでいることがわかりました。特に近距離アジアを中心に「移動のしやすさ」や「現地体験の満足度」を重視する傾向は、NEWTの予約データにもはっきり表れています。
また、為替と物価の両面から“いま円でどこまで楽しめるか”を分析すると、韓国とベトナムのコストパフォーマンスが際立ちました。円安・物価高が続くなかでも、目的地によってはまだまだ“おトクに海外を楽しめる余地”があります。一方で、台湾やイタリアのように割高傾向にある地域も、ツアーの選び方次第では十分に手が届く選択肢になり得ます。
NEWTでは、こうした旅行者の動きや経済環境の変化を捉えながら、年末年始の判断に役立つデータを引き続き発信していきます。海外旅行を身近にするヒントとして、ぜひ参考にしていただければと思います。
調査概要
TimeTree未来総合研究所調べ
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分析データについて
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2019年1月1日〜2026年1月4日の期間で登録されたデータを対象として分析(登録ユーザー数は2019年1月時点で1200万超、2025年11月時点で7000万超)
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分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理されています
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旅行アプリ『NEWT(ニュート)』調べ
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集計データ
- 『NEWT』予約データ
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集計対象
- 出国日が2025年12月25日〜1月4日までの海外ツアー
TimeTree未来総研について
TimeTree未来総合研究所は、カレンダーシェアアプリ「TimeTree」に登録された100億超の予定データを統計的に分析する社内研究所です。予定データから見える世の中の動きや未来の兆しを発信し、人々が未来を選ぶきっかけを提供しています。
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TimeTree未来総研Webサイト: https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute
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「予定」にターゲティングできる広告ソリューション「TimeTree Ads」: https://timetreeapp.com/intl/ja/ads
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未来データをもとにユーザーのモーメントをとらえた広告配信を実現する「MIRAI_DSP」: https://timetreeapp.com/intl/ja/newsroom/2023-10-04/mirai-dsp
カレンダーシェアアプリ「TimeTree」について
「TimeTree」は、共有とコミュニケーションを前提にしたカレンダーサービスです。家族、パートナー、サークル、職場など複数人数の予定共有が簡単にでき、目的に応じたカレンダーを複数作成できます。2015年3月24日にサービス提供を開始し、2025年11月には全世界で登録ユーザー数が7,000万を突破しました。
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公式SNS:
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Facebook: https://www.facebook.com/timetreeapp
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Instagram: https://www.instagram.com/timetreeapp/
旅行アプリ『NEWT(ニュート)』について
「かしこい、おトク、旅行アプリ『NEWT(ニュート)』」は、株式会社令和トラベルが運営するデジタルトラベルエージェンシーです。2022年4月よりサービスを提供し、「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに、旅行における新しい体験や社会価値の提供を目指しています。
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web版 海外ツアー: https://newt.net/
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宿・ホテル: https://newt.net/hotel
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アプリ: https://newt.net/app
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公式LINE: https://lin.ee/ZKchfbF
株式会社令和トラベル 会社概要
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名称: 株式会社令和トラベル
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所在地: 東京都渋谷区桜丘町20-1 渋谷インフォスタワー15F
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代表者: 代表取締役 篠塚 孝哉
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創業日: 2021年4月5日
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事業内容: 旅行代理店業
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登録免許: 第一種旅行業(観光庁長官登録旅行業:第2123号)
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所属協会: JATA(一般社団法人日本旅行業協会)正会員、IATA(国際航空運送協会)公認代理店
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会社HP: https://newt.net/company
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『NEWT』ブランドページ: https://newt.net/brand
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公式SNS:
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LINE: https://lin.ee/ZKchfbF
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